原文はこちら


「ここの訳間違ってるぞ、こうだ!」と言ったコメント、歓迎です。

今回は楽器の構造に関する話が登場します。こちらもよく分からない部分がありますので、ご存じの方は是非教えてください。

原文に従い、Percyの発言は太字で記しています。



君が初めの頃に使っていたベースに興味があるんだ。この前グレッチ ・ベースについて話したけど、どこでフレットを削り取ったの? そして、君がプレイした最初の本物のフレットレス・ベースは何だったの?



フェンダー・プレシジョンのフレットレスだね……ロンドンで74年に買った中古だよ。ちょうどブランドXのレコーディング向けの前金として200ポンド手に入ったんだ。Melody Maker1 を読んでいて、裏表紙に載っていた、楽器・器具・小物の広告に目が行ったんだ。「サンバーストのフェンダー・プレシジョン・フレットレス、コンディション良好」って書いてあってね。そこで、ロンドン北部の持ち主の家を訪ねたんだけど、多分アイルランド人だな。彼がケースを開けると……ギネスをこぼして付いたような染みが2つあったけど状態は良かったので……一通り見て買ったんだ。



いくらした?



確か200ポンド近かったと思うよ、前金のほぼ全額だね。ジョン・グッドソールは毛皮のコートを買っていたな。



前金で?



そう。だから、前金を貰ってから最初にやったリハーサルでは、オレは新しいベースを持っていって、ロビン・ラムジーは何かキーボードの類を買ってきて、ジョン・グッドソールは地面に付くような長い毛皮のコートを着て歩いてきたんだ。

だから、それが初めてのフレットレスだったね。買ってすぐプレイし始めて……買ったのはUnorthodox Behaviourを録音する6-8週間前だったから、このフレットレスを使おうって決めたんだ。で、[馴染むために]みっちり弾き込んだんだ。



当時、他に誰かフレットレスをプレイしていた人っている?



ライブで見かけた奴を思い出そうとしてるんだけど……Canned Heatにいた奴、Canned Heatって知ってる? そいつがフレットレスをプレイしてなかったっけ? 他の奴は思い出せないなぁ……1974年のことなんだけど。



じゃあ、フレットレスをプレイしていた他の人からは影響を受けていないんだね。誰のプレイも聞いていないんじゃね。



そんなことないよ……ウッド・ベースのプレイヤーだけど、たくさん聴いたよ。間違いなくウッド・ベースのプレイヤーからもの凄く影響を受けたよ……



ミンガス?



そうそう、彼の影響は大きいよ。少しじっくり考えてみよう。フレットレスの面白さは恐らく、[音は]ウッド・ベースのような特徴があるのに、エレクトリックのボリュームを得られる点にあるんだ。これってある種折衷したやり方だよね。そこで、理論的に考えたんだ……フレットレスを試してみようって。手に入れられそうになったので、飛びついたんだ。広告が出ていた週にちょうど金があったのは、ホントにラッキーだったよ。



Unorthodox Behaviourをフレッテッド・ベースで録音していたらどうなってただろうね……全く違う仕上がりだったろうね。



1曲だけフレッテッドを使ったよ、“Running on There”だね。この曲で使ったのが古いグレッチで、少しフレットを削った奴だね。プレイするのが大変なベースで、今は持ってないんだ。洪水で壊れたから。エクストラ・ロング・スケールに大きなホロウ・ボディ、ボディの下にスティックがあって、それで固定できたから、その気があればウッド・ベースのように立ててプレイできたよ。だから、ウッドをプレイしていた人がエレクトリックに持ち替えられるようにデザインされたのは明らかだね。でも、セミアコでロング・スケールだからねぇ……プレイするのは骨が折れたよ。



フレットは自分で削ったの。



うん。



完全に?



いやいや、G弦側の端だけだよ。ある種……セミ・フレットレスとでも言うのかな? G弦でスライドすると、ホントにスムースなスライドになるんだ。



Liverpool Sceneでプレイしたのがそれ?



そうだね。実は、初めてプレイしたベースは古いVox Clubmanで、母親が10ポンドで買ってくれた物なんだ。



どんな感じ?



ひどかったね、安物で、色は明るい赤だったな……ペグはプラスチックでよく壊れたよ……だから、結局自分で古い置き時計のゼンマイを巻く真鍮のネジを買って、はんだづけしたんだ。



そのベースを手にしたのは何歳の頃?



145歳かな、多分。





1 詳細不明だが、既に廃刊となった雑誌 のようだ。